妊娠したいのになかなか妊娠しない、妊活中で妊娠の初期症状を知りたい、生理不順で次の生理がいつ頃なのか知りたいなど、基礎体温を測ることで体の変化や病気を知ることができます。
産婦人科へ不妊の相談を受けるとき、3ヵ月ほどの基礎体温表が必要といわれていますが、毎日基礎体温を測ることがストレスに感じる方は、無理をせずにまず受診されることをおすすめします。
このページでは、基礎体温を測ることで表やグラフからわかる5つの体の情報をまとめています。
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正確に基礎体温を測るには、できるだけ毎朝同じ時間に測定することが大切です。身体は起こさずに、布団の中で安静にして測ることがポイントです。
基礎体温計を寝る前に枕元に置いておくと、朝起き上がることなくさっと測定ができます。冬は基礎体温計が冷たくなるので、枕の下に入れて寝るとひやっとすることがなく測ることができますよ。
基礎体温計は、舌の裏側にある筋の左右のどちらかにあてるのが、一番よい検温場所です!
健康な人の基礎体温は、「低温期:36~36.3℃」「高温期:36.7~37℃」が目安となります。
体が活動していないときの体温が基礎体温なので、睡眠しているときに測定するのが一番よいのですが、それは難しいですよね。ですから、朝目覚めて布団から体を起こす前に測定をします。
体調や食生活、気持ちの変化によっても、基礎体温は影響をうけますから、あまり神経質にならないように継続することが大事になります。
何ヶ月も基礎体温を測り続け、グラフ全体を把握することが必要となるので、ストレスにならない程度に続けてくださいね。
一度目に測定ができなかったときは、二度目に目覚めてから測定するようにしますが、そのようなときでも布団から起き上がらないように、横になったまま基礎体温を測るようにしましょう。
風邪をひいて熱があるとき、基礎体温も影響を受けるため正確に測ることはできません。そのようなときは、基礎体温表に「熱があった」など、メモするようにしましょう。
一度目の基礎体温と二度目の基礎体温では、少しではありますが温度が変わりますから、一度目に測った体温を付けるようにしましょう。
夜の仕事や夜勤のある不規則な仕事をしている方もいると思います。そのような方は、睡眠を一番長くとって目覚めたときに、基礎体温を測るようにしてください。
昼や夜に起きるときでも、体を起こす前に基礎体温は測定するようにしてくださいね。
基礎体温は、ちょっとしたことで簡単に影響を受けますから、夜中にトイレに行ったとき、睡眠不足のとき、お酒を飲んだとき、夫婦生活があったときなど、いつもと違うことがあったときは、表にメモするようにしてくださいね。
測り忘れたときは、グラフは線で結ばずに空欄にしておきましょう。
正常な女性の生理周期は、生理開始から生理の終わりまでが、25日~38日の間が一般的といわれています。妊娠したい人は、自分の生理の周期を把握することで、妊娠の可能性が高まります。
ここでは、基礎体温グラフの見方と生理の仕組みについて解説しています。
卵胞期:基礎体温は低温期
卵胞期とは、生理開始から排卵までの期間をいい、卵巣ではこの時期に、5~6個の卵胞を育て、そしてその中の1つが成熟します。
子宮では、受精卵を迎えるために子宮内膜が厚くなり、妊娠の準備を始めます。
排卵期:基礎体温は低温期から高温期へ
卵胞が成熟することでエストロゲンが急激に分泌します。そして、下垂体から黄体形成ホルモンが出されることにより、卵胞の壁が破れ卵子が外に飛び出します。これを排卵といいます。
黄体期:基礎体温は高温期
黄体期とは、排卵が終わり次の生理が始まるまでの期間をいいます。黄体期の影響によって、基礎体温は高くなり、妊娠に備えるために子宮では内膜が厚くなります。赤ちゃんを育てる準備をするために、体は体温が高くなります。
生理:基礎体温は低温期
受精卵が着床しないと、子宮ではいらなくなった内膜を、血液と一緒に体の外へ排出しますが、これを生理といいます。生理になると、黄体ホルモンが減少するため、基礎体温は低温期に入ります。
このように、生理前になると、体に何らかの症状が現れると感じる女性は多いようです。基礎体温グラフでも次の生理の予測ができますが、自分の体に現れる症状など、体調の変化も感じでみてくださいね。
グラフ全体をみたとき、基礎体温が低温期と高温期の2相に分かれており、その温度差は0.3℃以上、高温期が9日以上続いているなら、排卵は正常におこなわれたという見方をします。
排卵がおこってすぐに体温が上昇することはないので、グラフ全体を通してみてくださいね。低温期が21日以上続いたり、低温期と高温期の温度差が0.3℃以内だと、妊娠しにくい可能性がありますが、3、4ヶ月基礎体温はつけるようにしましょう。
女性の体はデリケートなので、生活環境の変化や食生活、ストレスなどで簡単にホルモンバランスは崩れます。このようなことが原因で、生理不順を引き起こしたり、排卵がおこらないといった症状が出る方もいます。
生理不順の方は、基礎体温グラフがガタガタで、妊娠しやすい日や次の生理の予測ができず、排卵の有無を確認することが難しくなります。女性不妊に多いといわれる生理不順の原因の1つに、排卵障害があげられます。
基礎体温を3~4ヶ月測っても、ガタガタグラフが続くときは、産婦人科を一度受診するとよいでしょう。
低温期と高温期が二相に分かれておらず、はっきりしないガタガタの基礎体温グラフでは、妊娠したいときに重要となる排卵日の予測ができません。また、次の生理開始日の予測も難しくなります。
正常に排卵が行われるときは、低温相から高温相に上がるときの温度差が、0.3以上あるといわれています。低温期から高温期にはいるとき、基礎体温にあまり変化がないときは、無排卵の可能性があります。
無排卵の場合でも生理はくるので、気付かないことも多く、不妊治療をはじめたときに気づく方も多いようです。
基礎体温が高温気になると、子宮は妊娠にむけて準備を始めます。しかし、高温期が9日未満で、低温期と高温期の温度差が0.3℃以内であるときは、黄体ホルモンが上手く分泌しないため、子宮は妊娠に備える準備ができません。
このような状態を黄体機能不全といい、不妊の原因の1つでもあります。基礎体温を測ることで、隠れていた不妊の原因がわかることもあるので、妊娠したい人は基礎体温を継続して測るようにしてくださいね。
確実に排卵日を特定することができるなら、妊娠する可能性も上りますが、それはとても難しいことですね。少しでも妊娠の確立を高めるために、基礎体温グラフから排卵日の予測をして、妊娠しやすい時期に夫婦生活をとりタイミングを合わせましょう。
基礎体温グラフをみたとき、低温相から高温相へ体温が上がったときが、妊娠しやすい時期の排卵日です。
卵子の寿命が約24時間、精子の寿命が約3~5日といわれていますから、基礎体温グラフの見方としては、排卵がおこる高温期前の2~4日と、高温期に入った排卵後の1~2日に、タイミングをはかり夫婦生活をするようにしましょう。
高温期に入ってからタイミングをとると、排卵したことがはっきりとわからないので、卵子の寿命が短い可能性がありますから、排卵する前もタイミングをとるようにしましょう。
タイミングをとった後は、妊娠の早期発見をするためにも、高温期の期間に注意してグラフを見てみましょう。
女性ホルモンが正常に分泌することが、妊娠したい人には重要となります。女性ホルモンには2種類あり、女性の性腺に大きく関わります。卵巣で作られているこの2つの女性ホルモンの働きについて、ここではまとめています。
エストロゲン(卵胞ホルモン)の分泌が少ないときは、基礎体温は低く低温期になります。排卵前の卵胞期に入るとエストロゲンの分泌が増加し、代謝が高まることで肌や体の調子が整い精神的にも安定してきます。
プロゲステロン(黄体ホルモン)は、排卵が終わり基礎体温が高温期のときに分泌が増加します。生理前に起こるイライラやむくみ、ふきでものなどの不安定な症状は、プロゲステロンが増加することでおこります。
基礎体温が低温相から高温相に上ったら、プロゲステロン(黄体ホルモン)が上昇したという見方をしますが、高温期が9日以内で途中で体温が下がったときは、卵巣機能の低下(黄体機能不全)の可能性があるという見方ができるのです。
このように基礎体温グラフから、女性ホルモンの分泌を確認することができるので、妊娠したい人に重要な情報を教えてくれるのです。
体温が低温期から高温期に入り、16日以上続いたときは妊娠の可能性があり、基礎体温は妊娠4ヵ月頃まで高温期が続き、それを過ぎると出産するまで基礎体温は下がります。
このとき注意したいことは、高温期が21日以上続いた後に出血などの症状があったときです。しばらく高温期が続き妊娠4ヵ月になっていないのに、急に基礎体温が低下したときは流産の可能性があります。
妊娠や流産の可能性が考えられるときは、病院で必ず診察を受けるようにしましょう。
日本人の女性が閉経を迎える年齢は、だいたい50歳といわれていて、閉経する前後から更年期が始まるといわれています。閉経にも個人差があって、早ければ40代でむかえる人もいます。
女性ホルモンが急激に減少することで更年期がおこります。女性ホルモンの分泌が上手くいかないために卵巣の機能が低下し、体や心にさまざまな症状が現れます。
頻発性月経の症状、生理周期が短くなってくると、更年期が近づいています。また、基礎体温は低温期が続くようになります。
女性ホルモンが急激に減少することで、身体や心はついていけず、自律神経などのさまざまな症状が現れます。基礎体温グラフをチェックすることで、更年期前をはやめに見つけることができ、更年期にむけて備えることができるのです。
基礎体温を継続して測ることで、生理や排卵など自分の体のリズムを知ることができます。体に現れた小さなトラブルでも、不妊や病気など大きなトラブルにつながることもあるので、気になる症状があるときは自分で判断をせずに、早めに婦人科を受診し相談するようにしましょう。